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凍えた指先に息を吹きかける

 

風はもう、真冬の手触り。
街角も空も、すべてがひんやりとしていて、空気のひとつぶひとつぶに小さな氷の結晶が隠されているのではないかしら?と思うほどです。

寒い寒い冬は、哀しいことが、他の季節よりももっと哀しく感じるような気がする。
そんなことをうっかり思っていると、カラダや心が、きゅっと縮こまってゆくようで・・。
でも、死と向かい合った時に、はじめて自分の鼓動のあることに感謝するように、この季節でなくては見つけられないものも、きっと沢山あるはず。
そう思って凍える指先に息を吹きかけてみれば、自分の吐く息の熱さに、体の奥が、生きよう、生きよう、と燃えていることがわかるのです。

冬子ちゃんという友人がいます。
美しい名前だと思いました。
だけど、私には生まれて初めての珍しいお名前だったので、出会った当時に言いました。
春子さんや夏子さんには会ったことあるけど、なかなか珍しいね、と。

「私もね、小さい頃は冬なんて寒くて嫌だな、なんで冬子にしたのかなと謎に思ったりしていたのだけど、そうしたらお父さんがね ”冬はね、本当は温かい季節なんだよ” って、そう言ってくれたの。それから自分の名前が好きになったの。」

冬子ちゃんはそう言って教えてくれた。
彼女が、お父さんの語り口を真似て言った ”冬はね、本当は温かい季節なんだよ” は、本当に温かく優しい音をしていました。
20年以上たった今でも、私の耳の奥に、小さなともし火みたいにその声が残っています。
マッチを一本取り出してしゅっ!と擦るみたいに、耳の奥で、懐かしい声や言葉に火を灯すのはとてもいい。勇気になるから。

しゅっ。
耳の奥に言葉を灯し、今日も凍えた指先に息を吹きかける。
そうしてまた、足早に街角を歩き出すのです。
冬という季節に隠された温かさを、探しながら、ひとつづつ数えながら。



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