いつもと変わらない朝のフリをして
2010.11.09 Tuesday

朝は、幾つもの葬られた昨日の上に降り注ぐ。
増えるのは、傷だけ?
晴れの日も、雨の日も、裸足で歩く。
歩き続ける。
やがて繋ぐ手も変わって。
最期の日々は、たとえひとりで歩くことになっても、この細胞のひとつひとつに、生きただけの昨日が積もっている。
傷は悲しいことではなくて、生きた証だ。
愛されて、この体がある。
いつもと変わらない朝のフリをして、今日も体の中を新しい血が巡る。
温かい鼓動。
どんなに遠くにいても、耳を澄ませれば聞こえるはず。
夢は夜みればいい。
朝は、ただ、鼓動があり、血が通い、目が覚めたことを喜んでいたい。
生きているだけで、そこに希望があるから。
名づけようのない愛を胸に。
いつもと変わらない朝のフリをして、でも、真新しい自分がいる。
風の中に。