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雨上がりの蝶

宮崎2日目。
昼間、ブーツの踵を直すために街に出た。

宮崎まで来て、靴を直すのもおかしな話だけど、飛行機に乗る前に磨り減った踵に気がついたのだ。
何年越しかで履いている赤茶色の皮のブーツは、もうボロボロで、いっそ買い換えた方がいいはずなのだがどうにもできないでいる。
何度も修理を繰り返しながら履いている。

この靴で、私は生涯最初のパリの街を歩いた。
そして、ジュヌビリエの雪を踏みしめた。
靴の踵に染み付いた、フランスの冬と東京の日々は私の心にズシリと重い。
靴職人に、できるだけ踵を削らずに直してくれるよう、頼んだ。

今回、私はいくつかのキーワードを立てて稽古に望んでいる。
その最初のひとつが「全員が、世界に立つ。」という言葉だ。
全員、とは、フランスのプロの女優達も含んでいる。市民出演者と、俳優を生業とするフランス人達が、豊かな身体をもつ表現媒体として同じ高さで板に乗る、世界に乗る、この星の上に乗っている、というイメージ。

私が、ジュヌビリエの冬を過ごした靴で宮崎に来たのは、踏みしめた旅の感触を思い出すためだったのかもしれない。
私達の足元は、いつだって世界だ。
どんな街にいても。
誰と居ても、ひとりでも。
私達は、いつだってバラバラの心で、少しづつ違う風景を見ている。
けして、分かり合えないことを知っている。
だのに、一枚のまるい大地によって結ばれている。
板に乗る、舞台に立つ、ということは、幾つもの人生を結んでいるこの大地の上に立つことの、根源的なメタファーと言えるのかもしれない。

そんなことを夢想しながら、雨上がりの宮崎市内を蘇った靴で歩いてゆくと、 十字路のアスファルトの上に、雨上がりの蝶を見つけた。

蝶は、世界から飛び立とうとしていた。
ふっと、勇気がわいた。
部屋への帰り道、私はちいさな花束を買った。

あの蝶は、きっと今頃月まで着いたろう。
明日が、晴れますように。

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『世界は踊る〜ちいさな経済のものがたり〜』
2010年10月30日−31日
@メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場)
ご来場、心よりお待ちしています☆
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Comment by - @ 2010/10/21 2:55 AM
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