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絵葉書とパリの夜

ジュヌビリエのアパートではネットがなかったので、アテにしていたスカイプも、メールも、全然自由なタイミングでは使えなかった。
おまけに時差があったから、劇場での空き時間や、町に出た時にマクドナルドなどにて業務連絡的なメールをザクザクとするばかりで情緒もなく・・。
だけど、言葉や気持ちは突然零れおちるものであって、僕はダメな子なので、その辺の自制心は時々弱いもんで、そんなわけで、零れた言葉や気持ちを慌ててピンで止めるみたいに、滞在中には何度も何度も葉書を書いた。
アパートのタンスを机代わりにして、カフェで、劇場のロビーで、一番書いたのはやっぱりアパートで、夜更けに日記みたいに、絵葉書を書いた。
「ここは、いいところです。」とか、「そちらは雪は降りましたか?」とか、内容はたわいもないことだったけど、一言一句、言葉を選んでインクを滲ませていると、不思議と心が落ち着いた。

一枚目の写真はあちらでお友達になった歌手の美恵子さんが歌っている、カフェバーの夜。
ここでも絵葉書を書いた。
お酒が飲めれば恰好ついたのだけど、残念ながら机の上にあるのはミントティー(笑)。
ボトルは、ガムシロップ(笑)。
話しはそれるけど、ここのミントティー、本当においしかった・・。
グリーンティーに生のペパーミントが入っているんだけど、ホームシックになりかけてた心を、優しく溶かしてくれて美恵子さんの歌もあいまって涙が出た。
日本でもぜひマネしたい一品です。
さて、話を戻すが、そうやって、下手くそな字でペンを不器用に走らせながら、手書きってなんだろう、とパリの夜に考えたのだった。
いざ帰国してみれば、ネット繋ぎ放題、ブログもツイッターも電話もある通信過多な環境の中で、キーボードを親の敵のように叩きまくり、吐いた言葉が嫌ならすぐ消して、コピーしてペーストして・・、言葉の大量生産と大量廃棄。
つつしみをなくしてしまった、ゴシック体の文字。
下手くそすぎた私の手書きの文字こそ、私の不器用な本心そのものだったようにも思うのだ。
とても恥ずかしいけれど、もう一度、手書きで言葉をしたためてみたいなと思う。
ときどきね。
だから、もし、ある日突然あなたの手元にお手紙が届いても、どうか驚かないでください。
もの凄く下手な字ですが、どうかそのことにも驚かないでください。
私の、奥の方にあるものは、どれも皆不格好で不器用で、ただ切実にそこにある。
ああ、ただただ、切実に書けたらと思う。朝も夜も。

2枚目のお写真は美恵子さんのお宅にて。
パンばっかり食べてた私を招いて、トン汁と炊き込みご飯をふるまってくださいました。
海外での邦人の温かさは沁みるね。
美恵子さんは、一般大学を出てからクラシックの歌手を目指して渡仏しコンセルバトワールを卒業した才女。
お料理も上手、お歌も上手、ポルトガル人のジャーナリストさんと新婚ホヤホヤさん。
色んな人生がある。道は自由だ。
心に正直に生きて、この地で伴侶を得て歌い続ける美恵子さん。
私も、婚活のことなどはキッパリ忘れて(いいのかい?)、己の道を大切に、心に正直に生きようと、そう思わせてくれた、素敵な女性です。

小夏
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