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鳩よ

劇場に通う道すがら、日本で言うところの団地みたいなのが続いている一角がある。
その団地の緑地の中に、この写真みたいにパンやら、RIZ(お米)がどさっと置いてあることがしょっちゅうあって、最初はなんだか不衛生 だなぁ、と思っていたのだけど、よく観察してみると、どうやらこれは鳩にやっている餌らしい。

「こちらでは、持つものが持たないものに何かを分け与えるのが当然だってことになってるからね」、という話を出演者の美恵子さんから以前聞いたけど、 鳩にも十分過ぎるくらいの穀物が提供されている。
なぜ、美恵子さんとそんな話になったかって言うと、こちらではメトロ(地下鉄)の駅や、電車の中で物乞いをする人が普通に日常風景にあって、そのことについて解説してくれたのだった。
地下鉄の階段のところで、おばあちゃんが物乞いしてるのは割りとすぐ見慣れたけど、電車内の物乞いは最初は本当にびっくりした。
電車にちょっとオーラの違うおじちゃんが乗ってきたな、と思うと、おじちゃんは突然大声を張り上げて語りだす。
「ムッシュー、マダム!私の名前はジョンほにゃららです!私は、もう、何ヶ月も仕事がありません!本当に、困ってます!ムッシュー、マダム!ありがとう!ご協力を!お慈悲を!」
みたいなことを(ほぼ、想像訳)ガンガン叫び、コインを貰ったりする。
反応がないと、移動して、次のボックス席の前で同じことを繰り返すのだ。
一応、商売のカタチを取るおじちゃんもいる。私が見たときは、手に20冊位のえらいチープなノートを抱えながら口上を述べていた。
「ムッシュー、マダム!私の名前はドニーほにゃららです!かわいいノート!ペティートでかわいい動物の絵のついたノート、買ってください!本当に、困ってます!ムッシュー、マダム!ありがとう!ご協力を!お慈悲を!ホラ見て、小さなかわいい動物のイラスト付き。ノート、買ってください!」
みたいなことを(ほぼ、想像訳)、ガンガン叫ぶ。
ノート売りのおじちゃんに、ノートも買わずにコインをささってフツーに渡してたマダムがいたんだけど「あ。あんがとマダム」みたいな返答で、それは本当に困ってる人のリアクションじゃないんじゃないか?って突っ込みたくなったけどね。

でも、実際にコインを渡してる人も見たし、これだけおじちゃんの人数いるってことはある種の職業として成立してるんじゃないか?という懸念すら感じる。

鳩よ、分け与える精神、無いものにはあるものが分け与える精神そのものは美しいものだけど、君はこの光景をどう思っていますか?
慈悲もずる賢さも、間違いなく人間の持つ様々な顔のひとつだ。
だけど、それなりの平和があってこそ成り立っている光景ともいえる。
鳩よ、パンやお米は残飯ではなく、君への捧げ物かもしれないのだ。
こんなものですまないが、どうか、これからも平和を運んでおくれ。

小夏
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