<< December 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 船出に、祝杯を | main | 孤高の猫 >>

時間堂の時間

先日は、時間堂の『花のゆりかご、星の雨』を拝見。PPT(アフタートーク)にも出演させていただきました。感謝。
PPTでは、自分が好感を感じた部分についてできるだけ素直に発言しようとしたのですが、いかんせん緊張してしまい、何度か確実に黒澤世莉さん(主宰)の話の腰を折りました・・。
反省。
でも、作品もPPT出演も、自分にはとても心地よい時間でした。
既に全ステージ完売とのこと。
大変好評なようですが、その秘密は・・?
ここからは個人の感想ですが、ネタばれもありますので気になる方はまた来週・・。

さて、最近、等身大ではないタイプの芝居を立て続けに見ていたので(そういうのも、好きですが)、掌の上にそっと手渡しで渡されたような、このシンプルな芝居に、肩の力を抜いてくれるような素朴な良さを感じました。
帰り道が、大変心地よかったです。私にとってはそれは大切なことです。

ただ、突っ込みどころがまったくないわけではありません。
特に、聴覚を強く意識した演出だったのに、会場のノイズが大変多かったのは残念でした。
もともとルデコにこだわっての企画で、また、上の階の芝居のノイズの度合いは運でもあり、致し方ない面もありますが、特に今回の作品は、ノイズの少ない空間で、更に空調も切って観る事ができたら、また違う濃度を味わえた気がするのです・・。

前半は一幕もののようにひとつのシチュエーションで展開しますが、いかんせん登場人物を絞ってあるせいもあり、ちょっと展開はゆったりめです。
マイムや生音で表現する手法は大変面白く感じましたが、想像力を刺激する反面、それは実存の小道具や装置のように、物を相手役として利用できないということにもなるわけで・・空間がもしも本当の骨董屋と同じくらい有機的な場所などだったら、ゆったりめの展開の中の何気なく流れる時間が、また違った味わいになるかもと思いました。蔵でやるバージョンも観てみたいです。

個人的には後半、時間が飛んで物語が展開していった後のシーンの方が、より引き込むものがあったように思います。
それは、おそらく、登場人物の向かい合い方のドラマ性や濃度だったんだと思います。
また、後半に向けて、少しづつ重要なモチーフである母から娘への命のバトンとそれにまつわるエピソードが見えてくる構造で、母がお腹の子供に語りかけるところとかで、母ものに弱い私はウルッと来てしまいました。
ラストシーンも、水彩画のような透明な美しさがありました。
物語全体の持つガーリーな側面は、お客さんによっては好き嫌いも分かれるところかと思いますが・・。
そこで、話は最初に戻るわけですが、では一番の人気の秘密は何か、というと、月並みではありますが「多くの人が実感できる普遍性」が、物語の中にある、ということではないでしょうか?
身近な人が死んだら泣いちゃうし、身近な人が生まれても泣いちゃう。
その普遍性の部分をメインディッシュにして、挑戦的なスタンスではなく手作り感を重視して手渡しで作品を届けたことが、多くの人の琴線に触れたんじゃないかしら?と思いました。

逆に言えば、今、小劇場ではそういう芝居が少ないのかもしれません。
役者さん達は皆誠実な好演で好感を持ちましたが、特に本物妊婦の雨森スウさんの声と存在感、祖母の若き日を演じた星野さんの内に込めた迫力が、物語りを引き締めていて魅力的でした。

小夏
profile * 小夏の呟き * 19:42 * comments(0) * trackbacks(0)

コメント

コメントする









トラックバック

このページの先頭へ