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古い靴を捨てる

春も、夏も、ふりかえりたいけれど、まずは今日を見つめよう。
秋の日々を綴ろうと思う。
綴る、ということそのものを思い出しながら、ゆっくり言葉を探そうと思う。

夏から進めている引っ越しが、ついに佳境を迎えている。
16年暮らした部屋を旅立つのは、物理的にも心理的にも、簡単ではないようだ。
捨てようと思うもの全てに、20代と30代の思い出が時の重みと一緒に貼りついている。

靴箱から、捨てられずにいたサンダルが出てきた。
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ダイアナという靴屋の作ったもので、歩きやすく、長持ちしたよいサンダルだった。

さすがに捨てようと思ったが、お別れにもう一度だけ履いてみた。

コツコツコツ・・。

夜のアパートの廊下を、ランウェイのように歩く。
あの頃毎日履いていた踵の高い靴とは、こんなにも視点の変わるものだったのか、と驚く。
大切なデートには必ず履いたな、衣裳で人にかしたりもしたな、と、靴音と共に、
埃を被った想い出がふわりと顔を出す。

私達はどれだけのことを忘れたことにして生きているのだろう。
引っ越し嫌いの私がついに引っ越しを決めたのは、様々な理由があるのだけれど、
この小さな部屋にはきっともう、見える想い出も、見えない想いでも、仕舞い切れない。
それが最大の理由ではないかという気がした。

サンダルは丈夫で、その気になればまだ歩けるような気もしたが、右の踵がぐらついている。
捨てる勇気の為に、家族に頼んでサンダルを写真に納め、ゴミ袋に入れた。

さよなら、私の青春。

ああ、こんな言葉を、何度も口にするなんてね。
オレンジ色のゴミ袋に、遠い日々の欠片を手放すたび、呟かずにいられない。

「8僖辧璽覦焚爾蓮△發呂箏い任呂覆ぁ」と心の底から信じていたあの日々。
今は、スニーカーばかりを履くようになった。
私の中の何が変わって、何が変わらずにあるのか。

本当の不惑を手に入れる日を目指して、ゆるやかな引っ越しの日々は続く。

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