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ホスピス

同居している兎が、癌であることが判明した。一週間ほど前に、彼女の胸に薬指の先ほどのデキモノを見つけ、医者に連れて行くと、乳腺腫瘍との事。
細胞検査の結果、完全に悪性とは断定できないが、ほぼ、そうであろうと言うことだった。
うちのこは、今年で6才になる。
兎の寿命は6年程なので、人間なら80代のおばあちゃんだ。
年齢や体力や繊細な性格の事・・、また、本人は現在いたって元気で食欲もあることなども考えて、お医者さんと相談して手術はしない事にした。
その日から、私の部屋はホスピスになった。
最初はショックだったけど、一度覚悟が決まってしまえば、むしろこのチャンスをくれた神様に感謝を感じるようになった。
ある日、唐突に死を迎えるのではなく、毎日一緒にいる事を大切にしながら、その日を迎えられるのだから・・。
ただの老衰であれば、ここまで彼女への愛情を再認識しなかっただろう。
それに、このいざという時にすぐ力になってくれた、身近な人達の優しさにも気が付いたから。

だけど、夜、帰宅の前は、毎日覚悟を決めてドアをあける。
そこに死があれば、ひとりの部屋は、ひとり以上に孤独な場所になるだろう。
でも、きっと本当に辛いのは、彼女が不在になってからだろう。
今は、ただ、悔いの無い日々を、と思う。

何度でも、キスを。
彼女が、月に戻る晩まで。
小夏

aogumi * 小夏の呟き * 23:32 * comments(0) * trackbacks(0)
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